Mikiyoshi1986

日本任侠道 激突篇のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

日本任侠道 激突篇(1975年製作の映画)
4.0
1月10日は東映の「将軍」こと山下耕作監督の生誕88周年記念日!

任侠劇の様式美をとことん追求して開花した山下の才能は文豪・三島由紀夫に絶賛されたことで更に株も上がり、彼は東映を支える屋台骨として長きに渡り辣腕を振るうこととなります。

本作はかつて任侠映画の当たり役で絶大な人気を得た高倉健最後の任侠映画出演作であり、
実録路線の人気に湧いた東映やくざ映画が任侠劇にピリオドを打った最終作にも相当。

タイトルに付け加えられた『激突篇』は元々、健さん主演の実録『山口組シリーズ』第3弾になるはずだった『山口組三代目 激突篇』の借用であります。
東映と山口組の関係で警察から捜査の手が及び、断念せざるを得なくなった幻の『山口組三代目 激突篇』はせめてもの代替案として本作が宛がわれ、
予定されていた75年の正月になんとか公開する運びとなりました。

任侠道のイロハを丁寧に紹介しながら、昔気質の二代目親分を演じる健さんが抗えぬ時代の変遷に苦悩する任侠ドラマ。
側近には忠心の権化に相応しい雰囲気満点の恒さん、統括役の待田京平、良き伴侶に大谷直子。
堅実な旅の客人は北大路欣也、麗しさとエロさが最高でめちゃくそ可愛い竹下景子、豪傑無頼漢に宍戸錠、板挟みの兄貴に渡辺文雄、お笑い担当のエセ渡世人に藤山寛美とキャストに不足無し!

エンディングに設けられた斬新な深紅シーンはまさしく任侠道の終焉を飾る惜別の念を思わせます。

共にツートップを走った鶴田浩二はテレビへと活躍の場を広げていき、東映任侠の華だった藤純子の引退も相まって、京都撮影所に一人取り残された任侠スター健さん。
また任侠劇で培われた山下も不慣れな実録路線ではなかなか本領を発揮できず、
任侠劇を牽引した二人最後の花火はここで華々しく散ったのでありました。

そして健さんは前述『山口組』シリーズのゴタゴタや『神戸国際ギャング』での衝突を機に東映実録路線に見切りを付け、フリー転向で国民的大物俳優への階段を登っていくことに。
Forever任侠道。
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