三畳

バッファロー’66の三畳のレビュー・感想・評価

バッファロー’66(1998年製作の映画)
4.4
威勢はいいけどじっと見つめていると弾の込められていない銃を四方八方にカスカス打ちまくってるみたいな男だ。その実なにも本音を言葉にしてはいないのに、察し・汲み取り能力が鋭すぎる女の子。しかも拉致されている環境下で!

確かに彼はハンサムであることをきっと自信に思ったことなんてないんだろうなとか想像させる何かがある。そのうちの何割かは現実とは違って勝手に「本当はかよわい人」像を仕立て上げてるところもあるだろう、視聴者も彼女も。ツッパリによる高低差だけで弱みが尊いものに見えるのがずるいもん。
それでもベッドで子供のように丸くなる姿は「良かったね」と思わずにいられない愛おしさ。

最後に入った売店の店長が、ボーリングスタッフやホテル受付の人とは違った顔をしてた。きっと仮の世界線で憎しみに溢れた方の自分は一度死に、生まれ変わった彼の高揚感を温かく受け止める眼差しに感動した。ありがとう。
ジャケやそれまでの演出からしてこういうのは絶対にハッピーエンドにはしないタイプの映画だろうなと私は思っていたんだよ。
三畳

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