七瀬

ファースト・ミッションの七瀬のレビュー・感想・評価

ファースト・ミッション(1985年製作の映画)
4.0
この時期のジャッキー主演作品には珍しく、ドラマ重視の作品。

知的障害のある兄(サモハン)と、それを支える弟(ジャッキー)の兄弟愛物語である。

弟は結婚を考えている恋人がおり、船乗りになりたいという夢も叶えようとしている。しかし、それには自分がいないと生活ができない兄の存在がどうしても障壁になってしまう。
夢を諦めて兄の面倒を見続けるか否かの選択に迫られ、葛藤し、兄に不満をぶつけてしまうシーンなどは、つい目を逸らしてしまいたくなる。
たった1人の家族である兄が大切で、心配で、見捨てられない。全編に渡ってそんな想いが表現されていて大変切なく、心温まるストーリーだった。

アクションシーンは言うまでもなく見事である。
建設中のマンションでのラストシーンは、工事現場というステージを存分に利用した様々な戦い方を見せてもらえる。
戦いのあとは野となれ山となれ……ではなく、後日談がしっかり用意されているところも珍しい。
やはり最初から最後まで、ストーリー重視のハートフルドラマなのだ。

そしてオープニングとエンディングの曲をジャッキーが日本語で歌っているのも見どころ。

さて、私はこの映画をDVDで見たのだけど、特典のメイキング映像がまた凄かった。
ビルで爆弾が使われ、悪者たちが窓から吹っ飛ばされるシーンがあるのだが、あれは流石に2、3人死んでるんじゃないのか……?戦争かな……?と思うくらいえぐかった。

それからこの時期のジャッキーは本当に忙しかったんだな……と心配になるくらいグロッキー状態の映像が所々挟まれていて、そんな状態でも面白い映画を作ってくれてありがとう、と言いたくなる。ありがとう……。

メイキングはメイキングでひとつの作品にできるくらい充実していて良い。
出演はしていないけれどアクション監督にユン・ピョウがいるので、ジャッキー、サモハン、ユン・ピョウの3人揃っていてなんとなく安心感がある。

とにかく、ストーリーもアクションも文句無しの作品でした。大満足。
七瀬

七瀬