うにたべたい

キング・オブ・ロストワールドのうにたべたいのレビュー・感想・評価

3.9
泣く子も黙って首を振るアサイラムの映画です。
パッケージから連想される通り、キングコングを意識したであろう内容となっています。
独自に生態系を発達させた謎のジャングルに投げ出された人々が、巨大な昆虫や現地民に襲われながら、ジャングルからの脱出を図る展開です。

主人公たちは事故で落下した旅客機に乗った乗客たちです。
物語開始時点で旅客機落下済みで、真っ二つになった旅客機から存外に元気な乗客たちがぞろぞろ出てきます。
どういう状況だったかわからないですが、飛行機が真っ二つになるような事故にも関わらず、死体が運び出されている様子がないのは幸運なことですね。
ただ、その旅客機は半分で、一人の「山の向こうに残骸が見える」という声で、一部の乗客はろくに準備もせずそこへ向かうことにします。
当然、「ジャングルは危険だ」という声も出るのですが、「飛行機は爆発する」という謎理論で断行します。
そこからは展開のジェットコースター。
巨大グモ、人食い植物、巨大なサソリ、原住民が次々と一行を襲い始めます。

80分程度の映画なのですが、観ているとあっという間でした。
アサイラムらしいチープな特撮と謎理論が跳梁跋扈する超展開の応酬ですが、私的にはそれも含めて大変楽しめました。
B級映画といえばそうなのでしょうけど、それほどダメな作品でもなかったと思います。

ただ、ツッコミどころが多いです。
例えば、映画が始まってすぐに乗客の一人がゴリラらしい手に連れ去られます。
彼女を探していると思われる女性がジャングル組に加わっているので、アン・ダロウ的なポジションなのかなと思って観ていたのですが、それ以降登場しませんでした。
また、ジャングルに向かわず壊れた旅客機に残ったメンバーが原住民に襲われるシーンがあるのですが、こちらもそれっきりです。
ジャングルに向かうグループの内、一人が、急に気が変わって旅客機に戻ります。これもなにかあるのかと思ったらそれっきりでした。
その他にも、伏線らしい思わせぶりな行動やカット、セリフがあるのですが、大部分は放置したままになるので、視聴時には広い心と温かい眼差しが必要となります。

そして、驚異は次々襲いかかって来るのですが、肝心のゴリラが一向に出てこないです。
終盤やっと出てきたと思ったら、容赦なく全部ぶっ壊していくゴリラ、生贄?原住民?なんか翼竜?全部お構い無しでとにかく暴れる暴れる。
そして大爆発!もう痛快としか言えない素晴らしい作品でした。

ラストは何も解決しません。
もう是非見て欲しい、そして私の観たものが何だったのか教えて欲しいです。