shin

チャーリーとチョコレート工場のshinのレビュー・感想・評価

3.5

名作児童文学の映画化

世界中で人気のウィリー・ウォンカ製のお菓子、彼の工場に金のチケットを当てた4人の子供が招待される。

この映画の特徴は子供向けの児童文学的要素を、誰が見ても印象に残る強烈なイメージとして視覚化していることにあると思う。

チョコレートの川が流れるお菓子の庭、チョコレートの山、お菓子転送装置、お菓子を作る小人…という単語から、我々の頭に湧き上がる楽しいイメージをその質感や世界観を見事に視覚化・映像化している。

そこで語られる要素はいかにも子供っぽい感じがするのだけど、デザインや作り込みが非常に良くできているため、大人の好奇心もガッチリ満たしてくれるのは、さすが映像の魔術師ティム・バートンといったところだろう。

さらに、強烈な視覚体験はただの楽しい体験ではない。むしろ、この映画の特徴を強烈な視覚体験と印象づけるのはこっちの要素なのではないかと思う。

本作の視覚的イメージは、楽しいものであるとともに、全編がサイケデリックな原色イメージであふれており、脳の変なところを触られているようなソワソワ感を感じる。

特に、ウンパルンパが歌い踊るシーンはこの映画のまさに見所で、風邪の時に見る夢そっくりだ。同じ顔をした小さいおじさんが、わけのわからん歌詞の歌を、耳に残るメロディで3回も披露してくれる…
あぁ、心拍数が上がり、呼吸が浅くなる…

キャラクターもどうかしている連中ばかりで、ウィリー・ウォンカは完全にイッてしまっている人でなしっぽくも描かれている。

まさにお菓子のような素敵な見た目でコーティングした本作の中身には、視覚と演出で、おいおいこいつら大丈夫かよ⁉︎と見ているこちらの不安を煽りまくってくるトラウマ要素が隠されているのだ。

絵本みたいな楽しい映像体験と、バッドトリップ感が同居する強烈な映像体験が味わえる、いずれにしても中々おもしろい映画だと思います。
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