爆裂BOX

吸血ゾンビの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

吸血ゾンビ(1966年製作の映画)
3.9
イギリスハマーフィルム製作のゾンビ映画です。子供の頃に読んだ「怪奇スリラー全集」や「世界のお化けやモンスター」といった本にジャケ写にもなってる女性を抱えたゾンビのスチル写真が載っていてそれで強烈な印象受けてみたかった作品ですが、漸く鑑賞しました。
ストーリーはイギリスのコーンウォール地方で謎の疫病で村人が次々死ぬ事件が発生。医師で教え子のピーターから手紙を受け取ったフィーブス教授が娘のシルヴィアと共に村へ向うが…というものです。
前半は村を訪れた教授と娘のシルヴィアがピーターと共に事態の真相を探ろうとするミステリータッチで進みます。そこにハマーらしい怪奇色と猟奇色を交えて描いていきます。
スチル写真で有名なシーンはゾンビがシルヴィアの前に初登場するシーンですが、「ぎゃっはっは」と高笑いしながら抱えたシルヴィアの親友アリスの死体を投げ捨てるシーンがインパクト抜群でしたね。その他、墓場から復活したアリスがゆっくり迫ってくるシーンも不気味でしたし、その首をスコップで切断するシーンは今見ても中々ショッキングでした。墓場の土をかき分けながらゾンビが姿を現し、ゆっくり取り囲んで迫ってくるシーンも悪夢的な名シーンと言えます(実際悪夢だけど)墓から出るゾンビを描いたのは今作が最初かもしれないそうですね。「サンゲリア」にも影響を与えた名シーンです。
本作に登場するゾンビは術者に操られるヴードゥーゾンビで鉱山で働かせるために製造されてるので無暗に人を襲いませんし、感染もしません。タイトルの様に吸血することもないですね。でも単なる白塗りゾンビではなく白目で腐って爛れた様な腐乱メイクは今の目で見ても中々不気味でイイ感じです。
主人公であるフォーブス教授は医師ながら超常現象や魔術を信じる柔軟な思考もってて敵地に乗り込んで手掛かり探したり、襲って来た敵の一派を格闘の末躊躇なく殺したりと中々アクティブです。呪術で操られて殺されゾンビにされる薄幸の美女アリスと教授の娘シルヴィアどちらも演じてる女優さん美人でよろしいですな。悪玉である地主ハミルトンも紳士的な態度を装いながら悪を隠し切れない感じも良いですね。
燃え盛る業火の中で迎えるクライマックスも中々壮絶でインパクトありました。
ゾンビ映画ファンなら一見の価値ある古典名作ですね。