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ドリアン・グレイのhokaのレビュー・感想・評価

ドリアン・グレイ(2009年製作の映画)
3.0
décadence&indulgenceの代表的自己愛型作家、O•ワイルドの作品三度目の映画化。

ドリアンはみたところ相当の資産家で、美青年だろう。
そんな境遇には全く縁のない私にとって、共通点は霊長類人科で男性であることだけだ。

そんな彼に近づく欲望や策謀や、腹に一物有りそうな唯一の友人らしいヘンリーから受ける刹那的薫陶から逃れる術を知らず、退廃的な欲望の赴くまま、行き着いた先が誰もが逃れえぬ老いへの恐怖。

ヘンリーが仮に没落貴族で羽振りの良いドリアンに近づき、自分の娘を嫁がせる為享楽の味を覚えさせ、シビルを間接的に自殺に追いやったのなら、その遠謀深慮こそホラーだ。

2階に住む者には、35階に住む者の気持ちは判らない。
墜ちても私は足を挫くだけだが、彼はその名残も残らないだろう。

極めて贅沢な苦悩だとは思うが、持つ者の恐怖は、きっとそういうものだと推察する。
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