blacknessfall

アリス・スウィート・アリスのblacknessfallのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

スラッシャー映画の隠れた名作と言われてるけど、確かにその名に恥じない名作だった。
でも、スラッシャーてよりは"ジャッロ"に近いと思った。ミステリー要素の導入に分かってしまえばあまりに短絡的なオチ。陰湿で不穏な雰囲気。グロめの殺戮シーンに不気味なガジェット。アメリカ映画なんだけどかなり"ユーロトラッシュ"や"ジャッロ"の雰囲気が濃厚でヨーロッパの映画かと思った笑
アメリカのスラッシャー映画にありがちなスプラッター過剰でクスッと笑えるところがなかったし、全体的に猟奇的で神経症な空気が濃厚でアメリカっぽくないんだよね。


特にアルジェントの影響を強く感じた。
不気味な仮面🎭️にレインコート姿でナイフで切りかかる犯人、必要以上に凝った脚本、ゴキブリ🪳を使ったエグい演出、そして何より犯人のサイコパス描写。
アルジェントの未公開映画です、と言われたら信じてしまうぐらいアルジェントしてる。 それぐらいカメラワークや音楽の使い方がアルジェント・スタイルなんだよ笑

情緒不安定の少女アリスの連続殺人と思わせて、実はサイコパスなおばさんの連続殺人だったというストーリーラインは予測不可能。意表を突かれた。
アリスのメンヘラぶりがヒステリックで病的、その上妙に腹の据わったふてぶてしさがあって憎々しい。気に入らないことがあると相手が大人でも恫喝するし、嫌みな態度を取る。アパートの大家のデブ男に「デブは本当に臭いわね」みたいなストレートな悪口を言う笑 剛胆で性格が悪すぎる笑
弱々しいメンヘラじゃなくて殺る気のあるサイコパスに見えるから、アリスが犯人だと思わずにはいられない。
しかも、最初の犠牲者が彼女の妹。妹はアリスと違い性格の良い美少女。母親は妹ばかり可愛がり、自分を疎ましく思ってる(とアリスは思ってる)。
この妹とアリス、母親とアリスの関係性の歪みや不協和音をねっとり撮ってるから、愛情の飢えや美しい妹への嫉妬から狂ってしまった女の子の凶行なんだと完全に刷り込まれる。

猟奇性、異常性、意外性の三拍子揃ったハイレベルなサイコサスペンスだった。
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