Yukiko

ブラジルから来た少年のYukikoのレビュー・感想・評価

ブラジルから来た少年(1978年製作の映画)
4.7
2018年8月17日  NHKBS放送
『ブラジルから来た少年』  1978年イギリス制作
監督、フランクリン・J・シャフナー。
『猿の惑星』の第1作目を撮った監督さんで、
S・マックィーンとD・ホフマン共演の『パピヨン』
の監督さんでもある。

パラグアイ。
ナチスハンターの若者が旧ナチス党員の会議を盗聴する。
そこには、メンゲレ博士(グレゴリー・ペック)の声が。
その若者は帰宅し、急いでリーベルマン(ローレンス・
オリヴィエ)に電話をする。
が、電話の途中で、若者は追ってきた旧ナチス党員の
部下に殺される。
そして、メンゲレ博士の計画は実行される。


この映画は、アメリカの作家アイラ・レヴィンが1976年
に発表した小説を元にしたもの。

メンゲレ博士の計画とは!?
今現在、それはあり得るかも知れない、しかし人道的に
行ってはいけない…という計画。
それを第2次世界大戦時に考え、実行すべく準備をして
いたのだと(映画の話)。

メンゲレ博士って、戦争当時は様々な人体実験を行った
のねぇ。
戦争が終わって、旧ナチス党員の多くはアルゼンチンへ
逃亡し、メンゲレ博士もアルゼンチン、その後パラグアイ
やブラジルにもイスラエル諜報特務庁(モサド)から
逃げ隠れした。
1979年にサンパウロ州ベルティオガの海岸で海水浴中に
心臓発作によって溺死したとのこと。68歳没。
映画では現実とは違い、ラストはドラマチックに脚色
している。

映画の中でアイヒマンについて、少し話が出ているが、
旧ナチス党員だった人物で同じようにアルゼンチンに
逃げた人にアドルフ・アイヒマンがいる。
10年間、工員からウサギ飼育農家まで様々な仕事をし、
家族も呼び寄せて生活をしていたが、息子がユダヤ人
女性と交際し、父の事を話していて、それにより
モサドが捕まえたとのこと。
その後の裁判はアイヒマン裁判と言って『ハンナ・
アーレント』の映画になっていて有名。
自身の行為については「命令に従っただけ」だと主張。
56歳没。イスラエルにて死刑。

ユダヤ人に対する迫害危害は許されることがないけれど、
何故そのようになっていったか、押しとどめるものは
なかったのか…を考える。
Yukiko

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