グレハニスト森田

もののけ姫のグレハニスト森田のレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
3.5
「ラピュタ」とは好対照に、非常に見る人を選ぶ作品と思う。
全体的な重厚さと尺の長さも相まって、一度鑑賞するのに結構な気合が必要。娯楽大作ではない、ハイカルチャー感がある。

この映画にはあらゆる物事・事象が対比されている。「光と影」「男と女」「村と森」「人間ともののけ」「朝と夜」「シシ神とだいだらぼっち」「モロの君とエボシ御膳」という具合。これらはミクロで見た場合全く別物であると同時に、マクロでみた場合別段変わらないものである、つまり「物事は表裏一体である」印象を受けた。シシ神が生き物を生かしも殺しもする、生であり死であるというのが象徴的。
この映画の本質は「自然を大切にする」というのではなくて、常に物事を大きな視点でとらえることの重要性がメッセージとして込められているのではないかというのが感想。

アニメーションとしては、唯々書込みがすごい。ジブリはクオリティの高いアニメをオールウェイズ提供してくれる。
好きなシーンは、タタラ場の病者の長の台詞。
しかしジブリの島本須美の寵愛っぷりは本作でも健在。何作品出てるんだ。

自称ジブリ好きにこの映画を一番に挙げる人間を見たことがないんだが、そういう意味ではジブリ中でも異質の作品なのかもしれない。