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愛に関する短いフィルムのcollinaのレビュー・感想・評価

愛に関する短いフィルム(1988年製作の映画)
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大好きな1本になった。
あぁ、キェシロフスキたまらないよ。

「愛」ってなんなんでしょうね。
彼女がいう、いわゆる「愛」は、彼の「愛」とは違うわけで。
でも、あるとき、彼女も気づく。

2人は変態的であったり、貞節が無かったりするにもかかわらず、
観客としての私はそれを変態や不埒なものとしてではなく、寂しさや、孤独や、
といったものに起因するものであって、
それらは、私の中のどこかにもあるのかもしれないと思ってしまう。
非難をして単純に片づけることはできない。

「愛」とはなんであろうか。
求めあう以上のものなのではないだろうか。
2人は見出したのでないだろうか。

何が好きかって言われたら分からないけれど、
キェシロフスキの作品には惹かれる。

画面の作りも、脚本も、その時間の作り方も。

歪んだ人間の姿を炙り出す一方で、
そこから浮かび上がるものを抽出して丁寧に掬い取って、
フィルムに焼き付けて見せてくれるのが、
キェシロフスキなのかな。
コーヒーを焙煎するようなイメージ。

救いと言うと違う気がするけれど、そのキェシロフスキが
掬い取ってくれたものが、私の心をあたためてくれる。
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彼がカートを持って走りまわるシーンとそれを見つめる旅行者が
好き。
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