SatoEmiko

アブノーマルのSatoEmikoのレビュー・感想・評価

アブノーマル(2012年製作の映画)
3.0
大人になりきれないある女の、親離れしようともがく姿だと思う。
表面的な映像にフォーカスしてしまった題名が残念。
女好きの浮気常習犯で、まるで赤ん坊のような愛情しか与えない父への愛情と憎しみ。愛情への渇望は、相手を選ばない自暴自棄な性生活へ…。結局は父親と同じ形でしか人と繋がれない苛立ちと、虚しさ。
必死で男を落とそうとし、誘惑する姿、繋がっている一時だけ見せる満面の笑顔。一点、事が済めば冷たく突き放す冷たさ。
ベッドシーンからは声にならない「自分が嫌い!でもだれかに愛されたい!でもこっちに来ないで!でも助けて!」という彼女の泣き叫ぶ声が延々流れ続けている気がした。

愛情を求めフラフラと彷徨う、安定さを欠いた冷たい主人公の心が恐ろしくて悲しく、愛おしい話。
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