唯

今日、キミに会えたらの唯のレビュー・感想・評価

今日、キミに会えたら(2011年製作の映画)
2.0
原題の「like crazy」は、「切ないほど好き」という意味。
人を好きになることには、切なさ・淋しさ・孤独が付きもの。

学生から社会人への移行期の恋愛、というだけで、どうにも暗雲が立ち込める予感。
恋にかまけて現実から逃げるのは良くないが、若い内にだけ出来ることでもあるし、若気の至りとしてなら何をやっても許される気もする。

それにしても、2人共、若いね。愛じゃなくって、恋だね。
互いが互いを強く求め合う、それは凄く素敵で幸せで尊いものだけれど。

それにしても、ビザの存在が酷。
こんなにもグローバルな現代だというのに。
環境の変化や遠距離恋愛は、なかなか難しいものがある。
ただでさえ、関係を続けるには、歩み寄りが必要なのに、それに加えて距離を補うアプローチが求められる。
本当に求め合う2人なら、必ず結ばれると信じたいけれど。
だが、障壁が生まれ、物理的距離が離れる度に心も離れてしまう2人に対しては、この2人は本当に大丈夫なのか、と、心配と疑問が募るばかり。

学んだことは、若い内に結婚相手を決めるのはよろしくないことと、順番や約束を遵守することが絶対ではないということ。
新しい彼氏の方が絶対良いのに(アイツ禿げてるし)と苛々するし、2人の恋の成就を全然祝福出来ない。
彼らは、2人の問題に、目を瞑って見ない様にしていただけだし、逃げて一緒になっただけ。

二兎を追う者は一兎をも得ず。
やっと結ばれた2人の、憂鬱っぷり、諦観が溢れ過ぎのラストに、全身の力が抜けてしまうし心からの長い溜息(鬱映画として名高いダンサーインザダークを超える憂鬱映画)。

「愛する人と一緒になりたい」がゴールだったはずなのに、いつの間にか「どうにかしてでもこの困難を乗り越えたい」が目的にすり替わってしまっていて、故に、自分達の正直な気持ちを蔑ろにしてしまった結果だろうなあ、と。

男の顔があまり好みでないし、男って基本女々しいよなあ、と、終始ローテンションでの鑑賞。
内容の浅い痴話喧嘩を延々と魅せられた気分。
邦題も絶対に良くないよね。
もっとライトなラブコメ映画だと思ったのに。

本で愛を伝える手法と、肩に力が入っていないアメリカ女子のファッションは好きでした。
唯