シネパピ

血を吸うカメラのシネパピのレビュー・感想・評価

血を吸うカメラ(1960年製作の映画)
3.5
CS番組ザ・シネマ
町山智浩のVIDEO SHOP UFOで鑑賞

単純にサイコな殺人鬼モノと思っていたら、ちょっとひねりが効いていて面白かった。

本作、アメリカではヒッチコックの「サイコ」の公開2ヶ月前に公開され、内容は「サイコ」に似ているのに批評家に叩かれまくって映画史の闇に消えたとの事。
ではなぜ「サイコ」は大ヒットし、その後の映画史に名を残したのか?それは「サイコ」は公開前に試写会をしなかったから。試写会をしなければ批評家からの前評判も出なく、観客も先入観無しに映画を見る事ができたかららしい。

一方、本作は公開前に試写会をし、主人公がサイコな殺人鬼にも関わらず同情的な物語にしたため批評家から総スカンを喰らってしまった。
(町山さん解説)

確かに主人公の描き方は同情的で、周囲の人間も主人公に好意的。そりゃ、見てて怒る人もいるなとw

また、物語が進むにつれて主人公の「撮影」への執着心がクローズアップされていくのも面白い。主人公はカメラで撮影するという行為に取り憑かれ「殺人」の一部始終をカメラ撮影していく(いわゆるスナッフフィルムだ)。果ては自分が犯している「殺人」にも映像的なこだわりを持ち始める。
これは「映画」というもののメタファーを描いてるのかなと感じた。物語の中でも映画制作を行なっていて、ちょっとした入れ子構造的な雰囲気もある。

取り止めのない感想になってしまったけど、要するに映画は新旧に関わらず面白い作品がたくさんあるって事w
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