あるぱか2世

マルサの女のあるぱか2世のレビュー・感想・評価

マルサの女(1987年製作の映画)
4.0
時は昭和、景気はバブル。

言わずと知れたあの音楽でおなじみ、伊丹十三の代表作。
冒頭からいきなり看護師の乳房を吸うおじいさんの映像から始まる。
もはやこれは本作の方針を示す所信表明のようなもので、それ以降、欲望の限り女を貪り、金を蓄える本作の悪役・権藤(演:山崎努さん)の姿が描かれていく…。

その権藤の傍若無人っぷりには、当初こちらも観ているだけで腸が煮えくりかえりそうになる。だけど、主人公・亮子との奇妙な縁を結ぶうち、いつしか憎めなくなっていく…。

そうして権藤というキャラクターを魅力的に描くことによって、本作は単に査察官のお仕事だけではなく、税金を抜く側の「シゴト」ぶりにも迫った、いわば光と影のお仕事ムービーとして仕上がっている。

近景・中景・遠景の配置がこだわり抜かれたショットが特徴的で、伊丹の独特かつ無二のセンスが光っていた。
あるぱか2世

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