ベイビー

マルサの女のベイビーのレビュー・感想・評価

マルサの女(1987年製作の映画)
4.2
僕が思いついた津川雅彦さんの作品といえば、この映画です。

最初に観た時は学生の頃。とにかくここで描かれている世界観が全てリアルに見えて「これが大人の世界なんだ…」と思いながら観ていました。

その中で津川さんが演じた花村統括官は、優しくて切れ者といった印象。僕が思う津川雅彦さん像は、まんま花村統括官の人柄そのものです。

他にも最近観た作品で、ダントツで好きなのはドラマ「アカギ」での鷲津役。金持ちで麻雀狂の老人の役ですが、その狂気の顔はマンガさながら。個人的には「アカギ2」を期待していたのですが、結局その願いは叶いませんでした…

さて、今回は「マルサの女」の話。今作で初めて伊丹十三監督作品を知り、それを機に伊丹作品を観まくるきっかけになった作品です。

とにかく話が面白い。最初に観た当時は、税金のこととか、裏社会の話とかあまり分かりませんでたが、本来嫌われ者である税務署(国税局)の職員がヒーロー、ヒロインになっている面白さはよく分かりました。少し癖がある伊丹節の正義の味方ですが、最後に悪(脱税)をあばくクライマックスはお見事です。

伊丹映画の画角、色彩、コントラスト、緻密な構図、個性あるキャラクターの描き方。 上げればきりが無いくらい魅力が盛りだくさんです。いま思えば、僕が映画を好きになるきっかけになった作品かも知れません。

今回、津川雅彦さんの哀悼の意を込めて、この作品を再見したのですが、やはりこうして見ると、多くの名優さん達がお亡くなりになられていると気付かされます。

僕はこれまで日本の映画をあまり観てきませんでしたが、これを機に、日本の映画も観ていきたいと思います。
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