しろくま

男はつらいよ フーテンの寅のしろくまのレビュー・感想・評価

3.5
2022.04.10/090/図書館DVD
〝さあて、お立合い!春だねえ、お立合い。この寅さんに縁談が舞い込んだ!帝釈天のご利益とガマの油の効き目だね!〟寅さんのお見合い騒動を描くシリーズ第3弾。
 
本作の監督は〝男は愛嬌〟で渥美清さんとタッグを組んだ森﨑東監督。前作から2か月後の公開というかなり駆け足の撮影にもかかわらず、内容は濃く、展開は早い。タコ社長が連れてきた見合い相手の女性は、かつて仙台の焼き鳥屋にいた駒子(春川ますみ)という知り合いの女性で実は亭主持ち。浮気の末に彼女を捨てた亭主を見つけてきて、仲裁役を務める寅さん。その後、湯の山温泉に場所を移し、そこでとらやのおじちゃん、おばちゃんと再会。若者たち(加山美子・河原崎健三)の恋のキューピットを演じつつ、本作のマドンナの女将のお志津(新珠三千代)に恋焦がれていくというストーリーを90分で見せるジェットコースタームービー。

本作の監督が山田洋次監督ではないためか、微妙に何かが違っている。例えば、駒子と亭主の仲裁役を務めるいつもの面倒見のいい寅さんだが、二人を仲直りさせたお祝いだと言って、芸者まで呼んで宴会を開いて、その上二人のために旅行のハイヤー代までこっちもちで、とらやの金を使うっていうのも、寅さんらしいといえばそうだけど、ちょっとやり過ぎに感じた。駒子も寅さんの懐具合を知っている筈なのに止めもしないのは、寅さんの善意に甘え過ぎ。ちょっとしたさじ加減で共感できたり、できなかったり…。

1970年の作品。バケツを逆さまにしたような形で下から押すと水が出るトイレの手洗いを寅さんが使っていて、そんなのがあったと懐かしく感じた。ロケ地は、三重県・湯の山温泉、御在所ロープウエイ、蒼滝橋、山岳寺(僧兵祭)、鹿児島県・霧島神社、種子島行き連絡船。
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