nt708

舞台恐怖症のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

舞台恐怖症(1950年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりのヒッチコック。イギリスらしい陰鬱さと重厚感は相変わらずである。冒頭数十分こそ今まで観てきた作品と比べて物足りなさを感じる展開ではあったが、物語が進んでいくにつれて誰が本当の犯人なのか、事件の真相は何なのかがわからなくなり、つい見入ってしまった。

とはいえ後味の悪さは否めないし、物語としては面白いが、それ以上の何かが無いのが残念なところ。冷静に考えてみると、殺人教唆の動機も単なる夫に対する嫉妬である。ミステリーに恋は最高のスパイスなのだろうが、恋そのものがミステリーの軸にあると話としてあまり面白くなくなるのが本作を観てとても勉強になった。とはいえさすがのヒッチコック。演出からは盗むべきエッセンスも多い。より多くの作品に触れ、より多くのことを学ばねばならない。
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