ヨウ

シュリのヨウのレビュー・感想・評価

シュリ(1999年製作の映画)
3.7
恋人との結婚を控えた韓国情報機関の長、ジュンウォンは、頻発している暗殺事件に関わる北朝鮮の女スパイ、バンヒを追っているが、なかなか存在がつかめない。その最中、北朝鮮の第八特殊部隊に液体爆弾CTXが強奪されてしまい、韓国市街に危機が迫る。



歴史の悲劇がベースになっているので、単なるアクション&恋愛映画として片付けられない印象でした。分断後、北朝鮮の民が飢餓に苦しむ様を訴える特殊部隊長のセリフが心に刺さりました。だからこそ新たな方式での民族統一を悲願に、地獄の様な訓練の日々をヒロインと共に越えてきたのだと感じると、単純に悪とはいえず、そこにこそ民族分断の悲劇があるのかと思いました。
タイトルのシュリは魚の名前であり、淡水・海水両方に生息できる朝鮮固有種だそうですが、南北の朝鮮を自由に行き来できるシュリにヒロインはなれず、恋人であり韓国情報機関の長でもあるジュンウォンと最後の劇的な対面シーンを迎えてしまいます。悲劇の後、最期に少し笑みがこぼれた様にも見て取れました。「理想の為に謀反を起こした部隊への忠誠」と、「愛する人への情」の狭間での苦しみから解放されたからでしょうか…
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