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プロスペローの本のlagのレビュー・感想・評価

プロスペローの本(1991年製作の映画)
4.0
一定間隔で落ち続ける雫。神殿の石柱内にも降る豪雷雨に時折すすり泣きと高笑い。水槽でも床でも引き締まった肉塊たちによる目の前を横切り躍動する体操舞踊で背を反らせて天を仰ぐ。無尽蔵に吹き荒れる紙片。

蒼き墨でつづる筆。扉がひらいて階段を降りる。半数以上が首から下の足の先まで防御力皆無な衣装。ひとつを灯すと部屋中全てが点く燭台。自らの皮をめくって下腹部解剖。業火と馬の呻めきに槍が刺さったままの野戦病院。樹木に吸収される叫び。噛みつかないように巻く輪。衰えない放尿。吊られて宙を翔ける。椅子の左右で腕を預けて立つ。海月のように泳ぐ霊長。腐敗する蜥蜴と甲殻。孔雀と麦畑に灰の雪。全身煤だらけで笑い転げる悪魔の翼。埃を吐いて閉じる。えがいた円と鳴り渡る鐘。水に投げ捨てて叩き割って消し炭にする。

テンペストのアレンジで終盤飽和するが相当な情報の洪水。長距離水平移動撮影に絵画の挿入と小窓編集。狂おしい変声前の少年から祝福する地声女性歌唱。持続的な低音のイングランド訛りとマイケル・ナイマンの鳥肌音楽。
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