smithmouse

シェフとギャルソン、リストランテの夜のsmithmouseのレビュー・感想・評価

4.3
「この中には世界で一番旨いものがつまって
る。」
溢れるヨダレと涙が止まら無い裏切りと兄弟愛の飯テロ。

舞台はニュージャージーでイタリア系移民の兄弟が経営するレストラン。
純情な兄貴プリモは誇り高く頑固な料理人。
イタリア料理に無理解なアメリカ人なんか知ったこっちゃ無い。
世渡り上手な弟のセコンドはウェイター。
美人の彼女はいるが客と兄貴の板挟み。
近所の流行りの店のせいもあり、陥った経営難からの起死回生の策として店の評判を上げる為、ツテを使い大物歌手を招待したパーティを開こうとする。

こじんまりして濃縮され、ビターなドラマが凄く面白い。
決して仲が良いだけじゃ無い兄弟と単純じゃ無い恋人、腹に一物ある隣人との関係が笑えるし、泣けるし盛り沢山。
メインの登場人物もポッと出の人も料理を前に笑顔なのが印象的。

料理をする手つきの鮮やかさが際立つカンツォーネをBGMにした調理を真上から撮影するシーンとか、料理を待つレストラン内でギャロップで踊るシーンなど楽しい空気が充満して画面から流れ出てくる。

印象深いのは最後の男3人で飯を食うシーン。
微妙で絶妙な距離感でセリフが無いのにあらゆることを物語ってる豊かな感じ。

街角で思わず美味しい店を見つけた時と同じ幸福感に満ちた映画。
smithmouse

smithmouse