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パラードのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

パラード(1974年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

私の幼少期を改めて振り返ってみると、エンターテインメントへの憧れはサーカスにあるのだと思い出される。朧気ながら両親に手を引かれ、毎月のようにサーカスに連れていかれては、自分の想像をはるかに超えたパフォーマンスに驚かされた、、ような気がしている。本作はそんな私の記憶を掘り返してくれる心温まる作品だった。

こうしてジャック・タチの映画をまとめて観て気が付いたのは、彼が演じているのが自分の周りに必ずひとりはいる愉快なおじさんだということだろうか。こういっては失礼かもしれないが、目を見張るほどのクオリティではないが、彼がする芸は結構見事で人それ自体にも魅力があり子どもからも大人からも大人気。目を見張るほどのクオリティでないことは、かえって親近感を生み、よりどこかにいるおじさんを連想させる。

コメディと言えばキートンのような派手なものから、チャップリンのようなドラマティックなものまで多種多様だが、親近感のある温かいコメディがタチの代名詞と言えるだろう(少なくとも私はそう思う)。こういう誰も傷付けないコメディアンがもっといても良いと思うのは私だけだろうか。
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