タキ

北北西に進路を取れのタキのレビュー・感想・評価

北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)
5.0
原題のNorth by Northwestは北北西とは訳せないらしい。それどころかこのような方角の言い回しは存在しないようだ。仮に北北西だとしてもソーンヒルは北北西に向かって移動していないのでますますわけがわからない。単に「ノースウェスト航空で西へ」の意味でタイアップの可能性もある(当時タイアップがあったかどうかは知らないが、たしかに空港でこの航空会社のロゴが多数映り込んでいた)タイトルは意味不明ながら中身はシッカリしたロマンス込みのスパイスリラーもの。テンポもよくあまりに抜けがないシッカリ具合でヒッチコック後期の傑作といわれるのもうなずける。
主人公が広告代理店の重役という設定で、スパイと間違われて殺されそうになり、身の潔白を証明しようしてさらに殺人犯と間違われ、逃亡中に出会った女性といい仲になるも、後半は彼女を助けるために奔走するという分かりやすいストーリー。彼を追う者たちがどこの諜報機関でどんな機密事項を扱っているのか細かいことを大胆に省いている。間違えられた彼にとってはどうでもいいことなので、枝葉をとることで物語の中心がブレないし、ソーンヒルの心情に常に共感できる上手い方法だなと思う。
ケーリー・グラントが広告屋らしいちょっと軽薄な感じを漂わせていてよく似合っている。この役に関しては(キスシーンの多さからいっても)誠実さの強いジェームズ・ステュアートより軽妙なケーリー・グラントの方が絶対合ってると思う。
NHKBSプレミアムにて。
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