タキ

赤ひげのタキのレビュー・感想・評価

赤ひげ(1965年製作の映画)
5.0
江戸時代後期の小石川養生所を舞台に病んだ貧しい町民とそこで懸命に働く医師の交流を描く。タイトルロールの赤ひげ(三船敏郎)はそれほど出番は多くなく、主役は実質長崎帰りの蘭学医、保本という若い医師(加山雄三)で、彼の成長譚が主軸になっている。
幕府は小石川養生所の運営資金をどんどん削っているとお上に向け怒る赤ひげ先生。いままさに現代社会でも通用する怒りに1965年の作品といえど古さは全く感じない。社会的弱者が犠牲になるのも全く同じで女性や子供の困窮が胸に迫る。
赤ひげ先生、ヤクザものをボコボコにしといてやりすぎたとすぐに反省するくだりには笑ってしまった。立ち回りカッコよかったんだけど落差がなんとも可愛らしい。三船敏郎のチャーミングを心得ているのもさすがの黒澤明。子役の二木てるみが衝撃の巧さ。誰も信じられないと心を閉ざしギラギラ光る白目があまりに印象的だった。
モノクロフィルムならではの光と影の使い方が秀逸。

NHKBSプレミアム録画
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