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すずめの戸締まりのタキのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.3
「君の名は」「天気の子」と並んで本作を入れて3部作というならエンターテイメントとして1番面白かったし、1番心に響いた。
実際にあった東北の震災を物語に落とし込む作業は一部不謹慎だと思う方もいるかもしれないと監督も思ったようだし実際そんな反応もあったらしい。私はこれまで架空の自然災害でオブラートにくるんでいた部分をちょっともどかしくも思っていたのでよくぞ作ってくれたと思ったし、先の2作で感じていた子どもだけの閉じられた世界の扉が開かれたように感じた。インタビューを読むと、自分の映画を多く見る世代は震災を知らなかったり、震災の時のことを小さすぎて忘れてしまっていることも多く、そんな彼らに向けて作ったようなことを言われていて、やはり自分は新海監督のターゲットから外れてるんだなとは思ったが、今回は明らかに大人へまなざしが違っていて、鈴芽が東京に向かう道中に親切にしてくれる大人たちや(これまで大人たちは子供に対して無理解だったり冷たい態度をとることが多かったように思う)独身で幼い姪(鈴芽)の母親代わりになった環さんが胸の内にある苦しみを吐露してなお鈴芽への愛は嘘偽りなくちゃんとあるしそれを鈴芽自身よくわかっている場面など大人にも救いの物語になっている。
しゃべる猫を同伴した女の子のロードムービーであること、車中で流れる「ルビーの伝言」は(芹澤の運転する車の横をクロネコヤマトのトラックも通る)魔女の宅急便を明らかに意識していて、ニヤリとする。こういう遊びもこれまでなかったような気がする。芹澤によると環さんのための昭和の懐メロだったようだけど(実際の40歳にはあのチョイスは古すぎる)ワタシなんか芹澤の車に乗ったら戦前の生まれっすか、東京ブギウギっすか、とか言われそうで戦慄している。

WOWOWで1月1日にテレビ初放送だった。4時過ぎに石川で震災があったあとだけに冷や汗がでたと思う。


『すずめの戸締まり』、新海誠監督ロングインタビュー。“たどり着いたのは、旅をしながら土地を悼む物語” https://www.pen-online.jp/article/012110.html

映画「すずめの戸締まり」 新海誠監督インタビュー
エンタメで災害を描く その思いは?
https://www.nhk.or.jp/fukushima/lreport/article/000/25/

新海誠監督、「すずめの戸締まり」で挑んだ“エンタメと震災”。未公開インタビュー https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/pvqdx5GOng/

「『うまくいかなかったな』という気持ちが強かった」あまり眠れず、涙が出ることも…公開から半年、新海誠監督が『すずめの戸締まり』に“今思うこと” https://bunshun.jp/articles/-/62965?page=1
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