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北北西に進路を取れのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

スパイに間違えられる男の話。

別人に間違えられる話は最近見た『間違えられた男』と同じ題材で、ヒッチコックのお気に入りのテーマなのだろうか?
ともかく、主人公がスパイと間違えられる事で、ノンストップの逃亡劇が始まる。
全編に渡ってドキドキとさせられる展開・演出が用意されており、サスペンスの巨匠たるヒッチコックの手腕を随所に感じる事が出来た。

中でも印象的だったのは、途中にある軽飛行機との戦い。
正直言って、ツッコミどころは満載である。
わざわざ飛行機など使わなくても、遠くから狙撃すれば良い話だし、タンクローリーに衝突するのも意味不明だ。
しかし、リアリティーを無視した突飛な展開だからこそ、強烈な印象を残す事も確かだろう。

映画の後半になると、真相が明らかになり、主人公は単独で敵に赴く。
スパイに間違われた男が、本当にスパイになってしまうわけだが、ケーリー・グラントのダンディーな魅力も相まって、この辺は007を彷彿とされるものがあった。
実際、本作はジェームズ・ボンドのキャラクター像に影響を与えたとの事で、それも納得である。

サスペンス、ミステリー、ロマンス、アクションと、若干話を詰め込み過ぎな気もするし、カラー作品であるが故に古臭く感じてしまう部分もあるのだが、徹底的にエンタメに振り切った作りには感心せざるを得ない。
持てる技術を総動員した、まさにヒッチコックの集大成と呼ぶに相応しい作品だ。
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