KnightsofOdessa

スチームバス/女たちの夢のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

スチームバス/女たちの夢(1985年製作の映画)
3.5
[] 70点

ジョセフ・ロージーの遺作。存続の危機に瀕している市営の女性用サウナ施設に集った様々な階級の女性たちの連帯を描く。下高井戸シネマの暖房が心地よすぎて彼女たちの激突部分はほとんど寝ていたのだが、まぁそこらへんをすっ飛ばしたとしても中々興味深い作品だった。裸なら階級や役職は関係がなくなる、というのは丁度同じ頃に登場したビンカ・ジェリャズコヴァ『The Swimming Pool』でも語られていたことだったが、本作品は上映時間のほとんどをサウナの中で過ごすことで、それが視覚化されている。そして、サウナのオーナーであるヴァイオレットは彼女たちを包み込むような、ずっしりとした安定感がある。冒頭の名前入り工具箱を持って機器を修理したり、泣きながらサウナに来たジョシーの話を半分くらい聞きながら、彼女の服を脱がしてサウナに送り出す、この安定感スバラシ。あと、上映後の呑み会で指摘されて漸く思い出したけど、赤狩りに巻き込まれてるくらいの人なので、ある種のファンタジー的な理想郷として、しかし風船は天井を超えて上昇し続けるというラストは遺作として相応しいとも思えてくる。ラストは泣いちゃったや。
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