綾

幸せなひとりぼっちの綾のネタバレレビュー・内容・結末

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

心地良くて安心で、いつまでも観ていたい映画だった。こんなにただただ映画に癒されたのも久しぶりだ。癒し映画、というと現実離れしたふにゃ〜っとゆるいもの(?)を思い浮かべるかもしれないけど、そうじゃない。しっかりと悲しみややるせなさ、怒りを内包してる。それでいて、こんなにも優しい。
人と人との繋がりが、表面的でも劇的でもなく、ごく自然に描かれていたのも良かった。めちゃくちゃあったかかったな。あんな風に、建前や取り繕いなく人間同士が繋がれるのなら、世界はどんなに平和になるだろう。
オーヴェが自殺を図るたび誰かの邪魔が入るのも、「人を生かす(死から引き留める)のは人だけ」ということなのだろうな。

話の大筋、パルヴェネー一家との交流はもちろん、猫ちゃんや若者2人組とのストーリーもめちゃくちゃ好き。オーヴェが主人公だけれど、オーヴェを取り巻くご近所全体が主役のような… なんだか懐かしの『ひよっこ』を観た時と似た気持ちだ。やさしい。とにかくやさしい。でも甘いだけの、心地よいだけの、やさしさじゃない。きちんと中身の詰まった温もりだった。

若かりしオーヴェとソーニャの物語もめちゃくちゃ素敵だったな。夫婦って良いな。
綾