あむ

幸せなひとりぼっちのあむのネタバレレビュー・内容・結末

幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2020/06/13 チャレンジするも体調が悪く中断。
それを何日も続け楽しめない日々が続き、今夜2020/06/18 04:30頃に無事に観終えました。

ずっと観たかっただけにホッとしてると言うか、心が落ち着いた気がする。
随分前から友人に勧められてclip!していただけにちゃんと鑑賞したくて何度も巻き戻した(><)

大体、映画鑑賞が一日置きくらいになって来ていますね(;_;)今は仕方ない。
楽しんでこその映画!映画鑑賞はお仕事ではありませんから、観れない日や気が乗らない日だってありますよね。

と言う事で早朝から…
(2020/06/18 06:57:47)
久しぶりの完全初見の新規開拓作品のレビュー!

とても生きることについて考えさせられる作品でした。年齢は違えど、自分の環境とも少しリンクして涙が零れてくるシーンも沢山ありました。

最初は小賢しく、口うるさい関わりたくは無いタイプの、妻に先立たれたひとりぼっちのお爺さんだった。タイトル通り…

「運命とは人の愚かな行為の積み重ねだと言われるが、それが本当なら、私の運命は隣人の愚かな行いの結果だと言えるだろう」

そんなセリフから始まり展開していく優しい物語。人間関係の大切さ、温かさを学ばせてくれた気がします。

一番印象に残っているセリフは…「死ぬのも簡単じゃないな」ですかね。
その後「居候も増えちまった」と言う彼のセリフからも人柄の良さが汲み取れました。

何度も自殺しようと試みるオーヴェだが、尽く邪魔が入り、上手くいかない。
その度に亡き妻ソーニャのお墓へ出向き声を掛け続ける日々が印象的。
高圧的で周囲に毛嫌いされ、孤独なオーヴェの闇を少しずつ解いてくれたのは…愚かだと言い放った隣人パルヴァネ。
彼女の存在が大きく彼の人生を動かして行く。
そのストーリー展開に過去の回想を交えながら、生きることの難しさ、また死ぬことの難しさを教えてくれる観やすい作品◎
(正直、最初は理解するのに戸惑ったけど…)

何度も繰り返し巻き戻したお陰もあり、感情移入してからは世界観にどっぷり。

友人が出来たことが嬉しかったと言うシーンでの、車種でのマウントの取り合いだとか…
友だちとの小さな相違点ってありますよね。大なり小なり。生々しい程に現実的な悩みだなぁと感じました。
ですが、パルヴァネの免許取得へ協力している際に「ぶつけても構わんさ、VOLVOだからな」等と、細かい所でそう言ったセリフで扱われていて車好きなので、そう言った目線でも楽しめた。
恐らく本編で訴えたい事柄とはズレてるのでしょうが…海外では免許取得ってどんなルールなんだろう?とかマニュアル前提なのかな?とか…笑
仮免だったから公道走ってたの?っ ̫ -˘

と、言うのはさて置き…
そう言った些細な関わり合いが増えた行くにつれ、オーヴェの中に生まれる変化の描写が細かくて分かりやすく、とても良かった◎
パルヴァネの子ども達が向かいの窓から大きく声掛けたら、手振り付きでオーヴェが笑うシーンは、初めて笑った?とホッコリした。

その後、学科試験の勉強で家を空けてる間に、子ども達を見ているシーンも心温まったなぁ。
結局、子どもが好きなんだなぁと。
どうして子どもを産まなかったのか…そもそも、妻ソーニャの死因は?等、疑問を抱いたまま、そこを知りたい思いもあり、その辺からはサクサク観進め、魅入っていました。

その後オーヴェがパルヴァネ宅から自宅に戻って、猫ちゃんと寝ているシーンで自然と涙が流れてきた。ひとりぼっち…寂しいですよね。
あと、猫ちゃん可愛いなぁ…やっぱり動物はいいですね( ー̀֊ー́ )✧飼いたいなぁ♡(すぐ脱線)

それから、どんどん笑うようになっていき、自分の事も話すようになる変化は、観てる自分まで嬉しい気持ちにさせられました!
だからこそ、白シャツの「甲斐性がなかったからだ」の後、自宅でひとりで流す涙のシーンは苦しかった。彼の苦しさは終始伝わっていたのに…
ずっと口うるさくルールに厳しいお爺さんを貫いていたので、悲しくても涙を流しているシーンはここが初めて。同じように泣けた。
そりゃあ、苦しいし、寂しいし、孤独ですよね…
ずっとずっとそれと闘って来たと想像すると胸が締め付けられた。そのシーンで回想と現実が混ざり「あなたパパになるのよ」と踊っている過去を見ている、お爺さんになったオーヴェの涙ぐんだ顔は心が痛くなった…

「過ちを認めるのは難しい、長い間、間違っていたことは特に…ちゃんと償うよ」そのセリフは、誰にでも言える事だと思いました。

そして、人はどんな形で今ある当たり前に感じている幸せを失うか分からないと言う事。
事故や震災、今回の想像すらしていなかったコロナウイルスだってそう…いつ何時、誰に起きてもおかしくないこと。。。思いがけない死は心の準備もままならないので更に苦しいですね、、、

ですが、物語終盤、バスの転倒事故で亡くなったのはお腹の中の赤ちゃんだけだったと知り、その後、妻ソーニャは癌で亡くなったと言う、自分の中では結構、想定外の展開でした。

そしてオーヴェの心臓の事もずっと気になって居ましたが、病院に運ばれつつも、心臓が大きすぎる事について笑い話にし、その後、すぐに猫ちゃんに見守られ、たったひとりで、やっと妻の元へ逝ける…悲しくも温かい最期。
最期はもう気付けばひとりぼっちなんかでは無かった!ゲイの彼を受け入れたり、三人で見回りをしたり、そう言ったシーンもあって良かった。
オーヴェの心が動くシーンには必ずソーニャの名前が挙がり、そこで考えて、優しい選択をして行くのも良かったなぁ☺︎❤︎
お手紙も、後腐れ無くホッコリ。最終的には、最期まで猫ちゃんの事を想っている所も♡彼の死を悟った理由が雪かきされていないと言う事がまた良かった。彼がどれだけ丁寧に生きてきたか、それをちゃんと見てくれている人が居たと言う事。
最初はあんなに毛嫌いしていたのに、結局は優しいひとりのお爺さんの物語でした。

やっぱり人はひとりでは生きていけないのかな…

人は人の温かさの連鎖で生きているんだなぁと、改めて思いました。孤独死だとか名のつくような時代ですが、少しでも悲しい死が減ると良いなと思います。
あむ

あむ