KnightsofOdessa

カノンのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

カノン(1998年製作の映画)
3.0
[ヘタレ親父、愛を思い出す] 60点

「エンター・ザ・ボイド」は嫌いなのだが、名前が格好いいので心に引っかかり続ける男ギャスパー・ノエ。中編「カルネ」の続編らしいが、見当たらなかったのでそのまま鑑賞。

冒頭、「カルネ」のあらすじを拾ってくれる親切設計。ヘタレ親父の残念な遍歴を的確にスタイリッシュな映像で知ることが出来る。現在はパリ郊外にアホな嫁さん貰って義母と三人暮らしだが、どうも馬が合わない。色々あってパリに出て来て、云々。昔の顧客に金を無心するも足蹴にされ、昔の仕入れ先に面接に行くも断られ、バーで悪態をついて追い出され、彼らを殺そうとするも勇気が無くて失敗し…と散々な目にあう。そして、ついに、施設にぶち込んだ娘を引き取る決断をするのだ!絶望した、娘大好きおじさん、手には拳銃。これは…これは!

何も起こらなかった。俺には殺せねぇとばかりに娘を抱きしめ、胸を揉んで終了。うーん……、ここで娘を射殺したままだったら大傑作だったんだけどなぁ…

ただ、要所要所銃声のようなものが鳴る演出や”Attention”のインタータイトルなど楽しい演出も多く、余計にラストの残念さが悔やまれる。嫌いにはなれないけど、決定的に好きにもなれない、惜しい作品だった。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa