山岡

マーゴット・ウェディングの山岡のレビュー・感想・評価

マーゴット・ウェディング(2007年製作の映画)
3.0
あらすじを読むと、シャーリーズ・セロン主演の『ヤング・アダルト』を想起してしまうけど、都会から田舎に帰省する中年女の自意識をストーリーの主軸には置かず、あくまで崩壊する家族を描いた作品。

家族一人ひとりが異なる悩みを抱えながら絶妙なバランスで場を成り立たせているが、少しずつ関係性に変化が生じ、しまいには崩壊。そしてラストで急にギアを上げ、エモーショナルな展開に…『イカとクジラ』と似たような構成だけど、登場人物の関係性が複雑過ぎて、一回視聴した限りでは誰にも感情移入できぬ間に終わってしまった…。

ただ、思春期前の男の子の、危うい、リアルな言動や、『悪魔のいけにえ』ばりに奇妙な存在感を放つ隣人家族など、色々と心を鷲掴みにされるシーンが所々にアリ。なにより後半のクライマックス、ジャック・ブラックが木を切り倒す前後のシーンはゆったりとした時間の流れる本作において分かりやすく、ドラマティックであり、コメディでもある、大変爽快感のあるシーンだった(黒沢清監督の『カリスマ』を思い出した…前半、ゆったり過ぎて眠くなる点も含めて!)。

『フランシス・ハ』以降の作品はどれも好きなんだけど、この頃はちょいと大人し過ぎて、自分にはキツイかな…ビジュアルや確かな人間観察眼は好感持てるのだけど…。
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