タランティーノと言えば、パルプフィクションが特に有名だけど個人的には三谷幸喜と肩を並べる群像劇の天才だと思う。
ひとりひとりのキャラクターが妙におしゃれで愛しくて独特で一度噛みついたらクセになって脳裏から離れないほど中毒性がある。
パルプフィクションを見たときは、自分に理解力がないだけなのか???の連続でクールなおしゃれに終始ついていけなくてタランティーノは苦手ジャンルだと
レッテルを貼っていた。
しかしこの作品は、非常にわかりやすく第二次世界大戦のドイツの時代背景にタランティーノというダイナマイトをぶつけ化学反応を起こした痛快、不快、爽快なエンターテインメント作品になってます。
タイトルにもなっている、アルド・レイン中尉率いるユダヤ系の戦闘部隊で固めた秘密組織バスターズがドイツ軍にナチスヒトラーに食らいつくストーリー。
アクションシーンは少ないですが、キャラクターの個性を立たせた演出と会話術が印象的で思ったより飽きずに楽しめました。
そのなかで特に存在感を発揮していたのは、クリストフヴァルツ演じる、ハンスランド大佐。
誰よりも警戒心が強く、回りくどい話し方に妙な説得力がある。
割れたガラスの上を歩いているかのような嘘もなにもかもすべてを見抜くその鋭い口調、目線、表情すべてが鼻についてしょうがない。
最初のシーンとショシャーナとの再会はあまりの洞察力にこちらまで息を殺し唾を飲むにも苦労した。
最後の最後までネバリ強いので、まさに憎まれっ子世に憚るとはこういうことでしょうね。
そしてブラピ率いるバスターズの存在。
頭皮の皮を剥ぎまくるし、情報を吐かないやつにはバットで滅多うちに惨殺、額にナチスの卍を刻んだりやりたい放題。
爽快というよりも苦笑いの連続で反応に困りました。
そしてバーでの命がけのやりとりに、激しい銃撃戦で簡単に死んで行く人々。
戦争ではこれ以上に意図も簡単に大勢の命が粗末に砕けたのだろう。
これは最後のシーンでも言えることで、怒りからは怒りしか生まれない。悲しみからは憎しみしか生まれないのだと一刀両断していて戦争の悲惨さを物語っている。
ただ、もう少し印象をダークにして欲しかったかな。エンターテインメントで戦争を学べるのは良いかもしれないがソフトすぎてふわふわ宙に浮いていた。
ドイツでは絶対に上映できないと思う。
ヒトラーのお馬鹿キャラとラストは笑ってしまったけど、きっと警戒心はランド以上だっただろう。
あとバスターズのひとりひとりの個性とアクション、破壊力はもっと見たかったよ。アルドのあごのでたイタリア人の役はこちらも恥ずかしかったですが(笑)
果たして炎につつまれて最後に笑うのは誰なのか。
名作なのは間違いないので、是非ともタラレルワールドに行ってらっしゃい。