ペンソー

ゴーン・ベイビー・ゴーンのペンソーのレビュー・感想・評価

ゴーン・ベイビー・ゴーン(2007年製作の映画)
3.7
B・アフレックの初監督作品。

ボストンで起こった誘拐事件を担当した探偵である主人公を通して、正義、価値観、善悪とは何かを訴える物語。

ラストの主人公の選択は、物語としてあえて主人公にその選択をさせたところが上手いと思った。
普通の人だったら、主人公の相棒が望んだ選択を同じく望んでしまうはず。
それをあえてしないことで、主人公の選択は本当に正しかったのか、正しい、正しくないというのは誰が決めるのかという疑問を投げかけていた気がする。
どの登場人物の視点に立って物語を見るかによってかなり変わってくるラストだったと思う。

立場は違えど、全員が同じことを望んでいるというのもまた切ない。
全ての登場人物がたった一つの同じことを望んでいるのに、それぞれの行動が価値観の違いからすれ違い、ある者にとっては正義、またある者にとっては悪となってしまうのが難しく、価値観の違いというのは人間である以上、永遠に解決できない厄介な代物なのかもしれない。

主人公の選択は、普通の人なら絶対に選ばない選択だったけれど、それが正解かどうかを決めるのは主人公ではなく将来成長し、物事を理解した子どもであり、もしも間違いならば主人公は彼女の幸せを破壊した張本人、また正解だったならば事件を起こした大人たちの正義は間違っていたことになる。
全員が同じことを望んでいるのにここまですれ違ってしまうのはあまりにも悲しいことだなぁと思う。

後日談のシーンはさすがにやり過ぎだと思った。
これではあまりにも主人公が浮かばれない。
このときはまだ正解かどうかは分からないけれど、主人公も心のどこかで間違っていたのかもしれないと感じていたはずだし、あまりにも心にモヤモヤとしたものを残すラスト5分だった。

C・アフレックは兄のB・アフレックと同様、暗くてどこか悲しげな男の役がとても似合う。
E・ハリスがあまりにも渋くてカッコよかった。

B・アフレックは本当に、暗くて救いがあるのかないのか分からないような映画を撮るのが好きなんだなぁと思いました。
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