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アウトレイジのマーチのレビュー・感想・評価

アウトレイジ(2010年製作の映画)
4.2
【レビュー】
いい意味で“普通”に好きな作品。

主演・監督・脚本、そして編集に至るまでを担い、まさしく己の作品としてパッケージできているため、北野監督の“色”が作品全体にジットリと根付いていて、それに呼応するかのように姿を現す“たけしイズム”で観客を惹きつける様は、流石の一言に尽きる。

過剰でなく、不足もしていないので作品の外枠としては、いい意味で“普通”であり、キッカリピッチリ出来ていると感じる。
何かしら気持ち的に興味が下降線を辿ってしまったり、観賞後にそこが後を引きずって、駄作と感じてしまうことがよくあるのですが、突き抜けるほどの興奮や感動があまり無いにしてもマイナスに感じる要素も皆無だったので、沸々と沸き立つエンターテイメントの面白さを存分に体感できるから怖ろしい。“普通”に《凄い》作品は中々創れるもんじゃないし、その“普通”を一度味わってしまったら囚われ、癖になると思う。

Vシネ感が漂っているのも劇場公開作品としては稀で面白いし、真っ直ぐ一直線の展開が目を捕らえて離さない。

ファン同士でこの作品を語る上ではどのキャラが1番の推しで、誰の死に方が1番格好良かったかという多少サイコな議論を交わさざるを得ないことをファン以外の方にはどうか黙認して欲しい。

【p.s.】
「全員悪人」のキャッチコピーに偽りなし!! 本当に刑事も含め、悪人しか出てこない清々しさ。

思わぬところに豪華な俳優さんが出ていたり、指ラーメン🍜等の陰鬱でシュールな描写があったりして、映画作品としては非常に普遍的な怖さと面白さが混在しており、全体を通してピッチリ薄くて黒い膜が張られているかの様な少し物々しい雰囲気を醸し出している作品でした。

やはり恐怖と笑いは紙一重ですね。緊張感漂うシーンや痛みを伴わない強烈なシーンを含め、全編通して何度か笑ってしまいました。楽しさからくる感情の高ぶりではないかと最近では解釈しています。

あと俳優陣の演技のぶつかり合いは圧巻ですね! 特に椎名桔平さんと加瀬亮は個人的に大好きでした。No.2で親分に愛され、仕事もできる感じとか、まさしく椎名さんのイメージでした。

たけしさんの役はポジション的に下の方ですが、どう見ても幹部レベルの風貌と雰囲気でしょ! まあ下のポジションであることが功を奏して暴れ回れている訳ですけどね。

いや〜〜面白かった!! 何というかずっと観続けられる感じでした。ヤクザ映画ということもあってか、作品自体に一本スッと筋が通っているかの様な真っ直ぐさが好きでした。

【映画情報】
上映時間:109分
2010年 日本/監督・脚本・編集 北野武/キャスト ビートたけし/椎名桔平/加瀬亮/國村隼/杉本哲太/塚本高史/中野英雄/石橋蓮司/北村総一朗/小日向文世/三浦友和/ヤクザの世界で男たちが生き残りを賭け、裏切りや駆け引きなど壮絶な権力闘争を繰り広げる、本格バイオレンス・アクション。
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