ねまる

リミッツ・オブ・コントロールのねまるのレビュー・感想・評価

3.7
映画は余白の時間が長いから好きだ。
主人公はほとんど言葉を発せず、ほとんど表情も変わらない。
主人公は多くを語らず、ゆっくりと時間は進んでいく。最近はゆっくりの時間の進みにあまり出会えない気がする。

美しいカットの映像たちをぼうっと眺める、それだけで落ち着く。
一つの美術館をゆっくりとめぐっているみたいだ。
主人公がついた美術館。
映画は総合芸術だという。これは絵画に近いのだろう。どの構図もバチッとハマる。似た映像、同じ展開が繰り返されるのも良い。この映画をフレームにいれて、映像が変わる絵画のように飾っておきたい。

ストーリーはというと、依頼を受けた殺し屋が、スペイン各地で、出会った人々に次へのヒントを貰いながら、ターゲットを探す話。
「スペイン語を話す?」から始まるトークや、エスプレッソ2杯、ギター、ヘリコプター、美術館といった、何度も繰り返されるモチーフ。
殺し屋はターゲットに出会えるのか、そして。

香港映画で、ウォン・カーウァイ作品でよくカメラマンを務めているクリストファー・ドイルがカメラマンをやっているためか、全シーンが美しかった。

「どうやってここに入ったんだ!?」
「想像力で」
ねまる

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