映像や写真というものは、その人が世界をどんなふうに見ているのかが映っているのだと思う。
同じものを撮ってもどんなものが映っているか、そこにその人の世界がある。
CGやアニメーションを使った映画が増えても、誰かの目から見た世界の美しさ、誰の目でものを見たいという思いは変わらない。
マイケル・ウィンターボトムという監督はそういう人。私の見ているロンドンとそこで生きる人の物語。
都会の喧騒、眩いライト、騒がしく息詰まり、その中で誰かを求めてる。無気力で頼りない夫、電話で探すデート相手、相手を求めても寂しさは満たされない。
敢えて感情移入させるような表現をしていないから彼らの人柄は見たまましか分からない。
ドキュメンタリー風にただそこに存在する人々。その演技らしさを一切排除したキャストたちがなんだか心地良い。是枝作品に似てるかな。
イアン・ハートなんてクィレルの印象強かったけど、その辺に居そうなガラの悪いにいちゃんが上手すぎるからな。
-----ネタバレ-----
ダレンが出てったのはお前のせいだって旦那に言われたママのシーンとか、
花火を見上げる人々のキラキラした表情とか、
荒れてて事故ってる間に赤ちゃん産まれちゃってた時のエディの表情とか、
ダレンからの電話を受けたパパとか、
過剰演出なくそのまま見えるから胸にストレートにくる。
そして、本当に産んだ?ってレベルのリアルな出産シーン。車の中での長女と息子のシーン。
音楽も相まって、温かな涙が。
特別なことじゃなくても、ちょっとずついい事はある。その象徴はAlice。
きらきらひかるwonderlandの中のAlice。