どーもキューブ

リミッツ・オブ・コントロールのどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ジムジャームッシュ、とある黒人の自制と規律


1999年作品。
ジムジャームッシュ監督、脚本。



先日劇場コロナ禍明け一発めで見た「デッドドントダイ」。久々のジムジャームッシュで近年過去作品が見たくなりレンタルした本作。

ジムジャームッシュ監督、ここで鑑賞履歴おさらい。

俺は気軽さ、だけど孤独さ。部屋で踊れば、それは永遠の旅、想像の旅。いや旅立つけど「パーマネントバケーション」

黒く差し挟まれる黒画面。ストレンジャーより楽園の三角関係。ミニシアターで大ヒットを記録した初期代表作「ストレンジャーザンパラダイス」

タクシー運転席で1話映画オムニバス「ナイトオンザプラネット」

ジムジャームッシュの「ゾンビ」死は死なない。死者は、死なない。地軸が動いてゾンビこんにちわ最新作「デッドドントダイ」ジャームッシュのゾンビはなんとも悲劇的でクスリと笑えた小話ゾンビだった。こんな履歴。

正直「ブロークンフラワー」と「パターソン」と迷う。工藤夕貴が見たくて本作をレンタル。

キめてる各人物、手荷物。殺し屋かプレゼント贈呈人か予想。「ミステリートレイン」出演の工藤夕貴がどんな役か楽しみ。レンタル鑑賞してみた。



主役の黒人をある意味見つめる映画だ。主役のイザックドバンコレを凝視する。見る人によっては、かなりつまらない映画、即時決定のリミッツになるであろう。

イザックドバンコレは、本当無表情につとめている。「カプチーノ二杯だよ?!」にも強めに言うのみ。

ひっかからなければ無視しそうな詳細な細部を楽しむ映画だ。また大概の方はこのかたぐるしい間延びしたオフビートに拒絶反応おかすとも思う。

何もアクションもガンアクションもスリリングも劇的なもりあげは、ほんのちょっと。いつもの淡々としたこの男の移動、行動様式を見る映画。

娯楽映画のテンポを外す
アクション映画のアクションを抜く
リズムに乗らず
リズムをオフる。それがジムジャームッシュのオフビート。

感情的なもんを廃して
淡々としていて
そのオフった中の
わりと繊細の音楽と
考えていて示唆に富む台詞と
間延びしたフィルムの端くれと
様々な外国からの俳優をミクスチャーしたなかの
あえての、あえての娯楽オフビートを魅せる映画。

とある場所へ移動
とある人へ会う
マッチ箱を貰う
次の場所へ移動
この4パターンだけの映画(笑)シノプス4行で終わる映画です。

ラストもまあ歯切れのいいんだか悪いんだか、なかば強引の幕引きと理由。それよりも行動規範と景色をみせたいかのような映画。だけど心地よかった。

景色も確かにはめ込んだ印象。鑑賞後写真見て思い直した。工藤夕貴の後ろがブルースクリーンだった。今や世界席巻のCGという名のSFX。

似た映画としてメルヴィルの「サムライ」があるが、全然見た後の感慨が異なる。当たり前だけど。そして99年に監督した「ゴーストドッグ」を別角度から作りかえている映画とも受けとれる。見た感慨は全然違う後味。

ジムジャームッシュは、もう何本も映画なんか見てる映画鑑賞人なんだと思う。しかし、タランティーノのようにそれを素直にフィルムにのせない監督だ。むしろ考えに考えて、冷静に自分の中に置いて別の新しさわないか、新しい映画作れないかと常に模索している映画監督にみえます。新しいキャスト、見たことないキャスト、ジムジャームッシュのお気に入りの俳優と音楽を添えて。ニューヨークのインディペンデント派生のジムジャームッシュは、ある意味芯は強固な映画感性だと思える。

そう殺し屋の映画つくるのに100本以上は見ている。が、あえて、意地悪く。あえて、自分の角度で。すべての好きなジャンルだけ取り出し、新作を作ってきているようにみえる。

だから毎回新しさが間違いなくある。そして先が読めない映画ばかりで大好きなのだ。

本作の工藤夕貴。とても「ミステリートレイン」の彼女とは思えない成長ぶり。台詞も絶対言わないような抽象性。必見。

「ミステリートレイン」の工藤夕貴。英語の片言ぶり半端ない。しかし本作の流暢さは、ハリウッド進出した努力の結晶のような演技。日本の女優さんでは、やはり開祖的突破者でもある。

本作は何気にジョンハートが出演。ジョンハートといえば「エイリアン」なわけで。「エイリアン」のファーストインプレッションだけで一生食えてるようなジョンハート。

そして物凄いザ・ファッションモデル美貌。ティルダスウィントン。彼女のコスプレも原型?雛形があるとかないとか。美貌は驚異的。ティルダもジムジャームッシュの出会いは、デカかったんじゃないのかなあ。近年の活躍ぶりは、半端ない。ティルダのシーン必見。

ガエルガルシアマルケス。美青年系でミニシアターからむくむく突出してきた印象。私が知ったのは、イニャリトゥの「アモーレスペロス」やペトロアルモドバル「バッドエデュケーション」から(未見)

ハッキリ言えば、とある殺し屋の同伴旅のよう。とある黒人男性の行動を見る映画でもある。少々強引な引き伸ばしと音楽のなか。

見終えたあとあの格好をして
どこかにさまよってると考えると
人はみかけによらない。またみかけで判断してはいけないし。
あのマッチ箱の意味不明な記号に導かれて旅したり、人に会う。会いに行くのかもしれない。見た直後は、なんともおもわなかったが、数日たつとジワジワとなんか残ってくるジムジャームッシュ節だった。



さて
とある黒人男性の自制と規律
ぜひジャームッシュファンはぜひ!

次回追記
「ストレンジャーザンパラダイス」レビュー。高校時見て、沈黙して、何が面白いかわからなかったザンパラついに再見!

「ブロークンフラワー」「オンリラヴァーズレフトアライブ」「パターソン」と見ていきます。がぜん見たい今でしょ作家になってきたジムジャームッシュ。

[フィルマークス少し書き足し版]
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