半兵衛

ラベンダー・ヒル・モブの半兵衛のレビュー・感想・評価

ラベンダー・ヒル・モブ(1951年製作の映画)
3.8
アメリカ映画のように犯罪の大変さをスリリングに生かすのではなく、ユーモアと辛辣さを交えて犯罪行為がいかに割に合わないかを淡々と描く風味がいかにもイギリスらしい犯罪映画。金塊をとんでもない方法で海外に持ち出そうとするのにそれを実行するのがアインシュタイン稲田みたいな風貌の飄々としたアレック・ギネスというギャップも最高。

完璧に練ったはずの作戦が素人ゆえの甘さからどんどんアクシデントが重なり警察に追い詰められていくという展開もさることながら、90分で犯罪の発案→仲間を見つけて実行→金塊の処理と進んでいく警察の捜査を淀みなく進行させる語り口の処理が素晴らしすぎる。そしてそんな合間にちょっとした笑いを挟み込む演出も小粋。エッフェル塔の階段で追いかけっこをしているうちになぜか楽しくなってしまう主人公に爆笑。

冒頭での南米のエピソードが伏線となって回収されるラストもお見事。

冒頭ほんのちょっとだけ登場するのにその美貌で凄まじいインパクトを与える無名時代のオードリー・ヘプバーンや若い頃のロバート・ショウも印象に残る。
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