わたふぁ

火事だよ!カワイ子ちゃんのわたふぁのレビュー・感想・評価

火事だよ!カワイ子ちゃん(1967年製作の映画)
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地元消防団のおじさん達が、今宵のパーティで“ミス消防”を決定する。
ミス消防の最初の仕事は、86歳になる元署長の誕生祝いの花束贈呈をすることだ。
混み合ったパーティ会場の中で、ああでもないこうでもない、胸だ!足だ!やっぱり顔だ!と騒ぎながら厳選するわけだが、別に誰も選ばれたいと思っておらず、美女が爺さんから逃げ惑う始末...!
そのうち近隣で火災発生。会計を済まさぬままパーティ客の群れは外へ。当の家屋は丸焦げの全焼になったが、幸いにも死人はでなかった。住人の老夫が途方にくれていると、再開したパーティは思わぬ展開に...。

今となっては、おとぼけ爺さん達によるドタバタ喜劇にしか見えないが、当時の共産主義体制を痛烈に批判した作品というのだから面白い。

結局、一番の目的だった“元署長の誕生日”も無事に祝うことができず、
美女をハンターするエロじじぃ達の欲望も満たされず、
用意してた景品も全部盗まれ、パーティ会場のオーナーはお金を回収できず、
家を全焼した老夫は寒い屋外で寝るはめになる。

誰ひとり救われていない。

上映禁止になるほど社会風刺が効いた作品だが、制圧があるからこそ反発は活きてくる。そうじゃなきゃ生まれない熱量があって、それは現代の作品から感じ得ることはできない。

67年の今作でアカデミー外国語映画賞にノミネート。
75年の「カッコーの巣の上で」、そして84年の「アマデウス」で2度の監督賞に輝くミロス・フォアマン監督の歴史の“序章”的な作品。