物語性にのみ特化し、肝心な生命性を欠く大衆映画が量産されるショービジネス。
そんな現状に対するヴェンダースの痛烈な葛藤と抵抗が、ひとつの作品として生み出されました。
映画本来の魅力が失われつつある、映画産業への苦言。
例えば巨大シネコンに牛耳られ、淘汰されていくインディペンデント映画&ミニシアター。
風前の灯となったモノクロ映画。ハリウッド的娯楽映画への皮肉。
ラストに用意されたのは、そんな映画の「死」を示唆するエンディング。
「お前ら、これで満足か!」と言わんばかりにブチ込まれたハリウッド的なオチは、痛快なほど皮肉に満ちていました。
映画とは。そんなヴェンダースなりの哲学を我々に投げ掛けた異色作です。