KnightsofOdessa

アウト・オブ・ブルーのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

アウト・オブ・ブルー(1980年製作の映画)
4.5
[消え失せるより燃え尽きたほうがいい] 90点

飲酒&脇見運転で小学校の通学バスを轢き潰した父親、勤めてるダイナーの店主と不倫してるヤク中の母親、エルヴィスに先立たれて窒息しそうな娘。破綻しかけた企画を、出演していたデニス・ホッパーが親友の頼みで乗っ取って改造した本作品は、大スベリした『ラストムービー』以来10年ぶりの監督作として久々にカンヌ映画祭へと戻ってきた記念すべき長編三作目である。若干掠ってる題材で同じく親指をしゃぶっていたレハ・エルデム『My Only Sunshine』を思い出しながら、最終的な破滅を知りつつも大人顔負けの無軌道な人生をひた走る少女の後ろ姿は刹那的で妙に眩しい。家出した先の街でボクシングしながら歩く男たちの横を歩く横移動と、タバコ吸いながら応援楽隊の間を縫ってチアリーダーをラリアットで倒す長回しが素晴らしい。アホみたいに鳥がいるゴミ捨て場もこの世の果てみたいで、そこからすら追放される悲惨さが最高。脇役までどうしようもない人たちで満ちているが、傍から見ても完全に崩壊している一家が仲良くドライブしてるとことか美しくて涙が出る。

エルヴィスとかニール・ヤングとかの系譜的なものが理解できてれば面白さも倍増しそうだが、イマイチ音楽史に興味を持てないので持てたらもう一回観てみたい。
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