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淑女超特急のnagashingのレビュー・感想・評価

淑女超特急(1941年製作の映画)
3.0
ルビッチのなかでは低調な作品というのが定評のようだが、主演のマール・オベロンのおでこが魅力的なのでぼくは好きです。この映画の根底には、商売と芸術との対立があり、妻が自分の知らないところで世界を広げていくことに対する夫の警戒心がある。年若く有閑な妻を持つ裕福で保守的なビジネスマンにとって、ピアニストの間男は自身の潜在的な恐怖の顕現にほかならない。
原題は『That Uncertain Feeling』。『極楽特急』にあやかったものらしい邦題はたしかにまったくわけがわからないが、女の移り気を特急にたとえていると見ることもできるので、そう悪い表現ではないと思う。
見せない演出という点では、終盤の扉を用いたメルヴィン・ダグラスの最高におかしい自作自演よりも、フレーム外でおこなわれたキスをバージェス・メレディスの歓喜のピアノで示唆する一連の流れのほうが気に入ってます。
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