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デビルズ・トラップ/密室ホテル女子学生の恐怖のsayaのレビュー・感想・評価

3.3
身に覚えのないリゾート旅行に当選した女子学生が、海辺に佇むホテルで豪華な料理を楽しむのですが、親しくなった滞在客たちが何も言わずに次々と消えてしまうことを次第に怪しみだす話です。
ホテルで肉料理ばかり出されることや、招待された女性が2週間たらふく飲み食いして太らされたあげく姿を消してしまうことから導き出される答えはひとつしかないのですが、残酷描写が一切ないのだけは完全に予想外でした。
ホラーというより『ヘンゼルとグレーテル』や『注文の多い料理店』といった童話に近いテイストなので家族でも安心して楽しめる内容になっています。
この映画最大の魅力は、のび太君くらい単純で無邪気すぎるヒロインの愛すべきおバカキャラでしょう。
応募すらしていない旅行に当選したことを疑いもせず、喜びを誰かに伝えたくて仕方ないヒロインが部屋を飛び出して大声で叫びだすのは子供みたいで可愛いらしかったです。
邦題には密室とあるのに実際は監禁されてもいないのでホテルから逃げられそうなのに、ヒロインの頭が悪すぎて失敗してしまうのも実に憎めません。
そもそもホテルといっても老夫婦と孫だけで経営している小さなペンションですし、全然強そうに見えない人たちが相手なのにホラーとして成立してしまうのは、ひとえにヒロインが素直でお人好しすぎるおかげですね。
老夫婦の犯行がとにかく非効率すぎるのも、類似ジャンルのホラー作品にはない独特な魅力になっていました。
わざわざタクシーやチャーター機まで手配してヒロインをホテルに呼び寄せるのにかかる費用や、苦労して入手したはずの肉をヒロインたちの食事として無償で提供してしまうのが全くコストに見合っていません。
経済的理由や食糧不足から同様の行為をする殺人鬼とは違って、肉の食べ比べをしてみたい金持ちの道楽という印象を受けました。
使用された食材の正体が判明してショックを受ける展開にするなら料理は飯テロになるくらい美味しそうに見せるべきですが、最初から料理がまずそうなのだけは残念でした。
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