SPNminaco

サウスランド・テイルズのSPNminacoのレビュー・感想・評価

サウスランド・テイルズ(2007年製作の映画)
-
こうして世界が終わる…『ドニー・ダーゴ』のリチャード・ケリーらしく、妄想と現実と科学とSFの境目がわからない黙示録。或いは予言。
2005年当時にシュミレーションした「終末世界」が、今観るととても生々しい。マッドマックスみたいな世界じゃなく、ビーチもパーティもネットもビールもあるLAで、人権&移動制限、監視、徴兵、石油エネルギー不足、暴力、怪しい偽科学…。そんな中、反体制組織ネオ・マルキシスト、ポルノ女優、双子の警官、博士、議員、スナイパーらが暗躍。すべてに関わり鍵を握ると思われるのが、ドウェイン・ジョンソン演じる映画スターのボクサーと彼の映画の中のヒーロー、ジェリコだ。
アクションシーンもなく殆ど挙動不審なロック様。目玉をキョロキョロ、指をプルプルさせながら、2人の妻や時空の裂け目で流離ってる。やがてアイスクリーム・トラックが夜空に浮かび、時空を超えた2人が出会った時、救世主が目覚める…かもしれない。あ、そっちか。
I WANT YOU、湾岸戦争、最新型飛行船、ロス暴動…映画に出てくるイベントは、まるでアメリカの20世紀史だ。もちろん9.11以後を反映してるし、ブッシュ大統領の実際の映像も挟まれるけど、アメリカはずっと黙示録を歩んできたかのよう。
それなりに大規模な予算を掛けて、よくぞまあこんな大作映画を作ったものだ。難解って訳ではないけど、奇しくも今の状況で観るとわかりやすいのではないか。一番シャレにならないのは、“流体カルマ”なる怪しい代替燃料を買う(そして騙される)日本のヤクザな首相かも。
ところで、タイトル『SOUTHLAND TALES』って、もしかしてザ・ポーグスの“Thousands Are Sailing”に引っ掛けてるのかな。ミュージカルシーンと国歌斉唱終末ver.のアレンジがクール。懐かしの『サブウェイ』そのままな役でクリストファー・ランバートが!
SPNminaco

SPNminaco