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甘く危険な女
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『甘く危険な女』に投稿された感想・評価

horahuki

horahukiの感想・評価

3.9
レンツィ版『悪魔のような女』

奥様公認で色んな女性と不倫しまくってるクソ夫ジャンレノ。でも奥様は隠れて涙を流してる…😭上の階に越して来た美女に早速恋した夫くんはストーカーばりに付き纏いヤッちゃうのだけど、実はその美女は訳ありだった…。凶悪な男に狙われている美女を助けられるのか…?っていうレンツィ製ジャーロ。

『サイコ』+『悪魔のような女』+『第七の犠牲者』+『The Strange Vice of Mrs. Wardh』って感じで、二転三転見え方が変わっていくのが超楽しい!!冒頭から不倫シーンなのだけど、不倫相手の女性は友人の奥様。しかも自分の奥様含めて4人全員仲良しグループっていう地獄みたいな関係性。多分友人も気づいてる…。みんなで集まってクレーン射撃とかパーティとかしてるんだけど、どんな心境なのコレ…😅とりあえず、不倫でショック受けてる奥様に「俺を労ってくれ」とか言っちゃう夫くんは完全に狂ってる!!

レンツィ×ベイカーの前作『狂った蜜蜂』から同じモチーフを繰り返しているのが面白かった。赤い傘の室内照明とか、薔薇とか、黄色と赤色と白色の対比とか、内面(本作ではもう1人の人格)と向き合おうとする時にゴシックホラーな演出を用いたりその結果がやはり閉ざされた扉だったりとか。

ただ、そのモチーフの使い方含めて演出面は完全に前作に分があって、微妙にチグハグになってる気がする。それでも、喧騒をバックに置くことで手前の無音の関係性が逆に際立つような視線のやり取りだったり、鏡像の相似構図の反復で意図を逆転させたりと、手堅く仕上げてる感じがした。露骨過ぎる赤の多用も、本心的な情欲に加えて否定的な要素も合わせて纏わせ、自身の内面的葛藤を4者間で描く上での綱引き的なことを丁寧に見せている。

男尊女卑的な発想を覆すかのように、同一人の別人格として設定された訳あり不倫相手&狙ってくる殺人鬼が全く「まとも」などではなく、当初の目的としての立場逆転を成し遂げているとはいえ、こちらはこちらで欲望塗れであって、結局は対象が変わっただけの同じことの繰り返しに過ぎないというニーチェ的なニヒリズムでもって男女や人と人の関係性を捉える視点が流石のレンツィだなと思う。
Cem

Cemの感想・評価

5.0
夫妻の住むマンション上階にキャロル・ベイカーがやってきた。実は妻はレズで、キャロル・ベイカーと恋人同士である。何も知らない夫のトランティニャンは彼女に夢中になり関係を持ってしまうが……っていうジャッロ風サスペンス🥀
なかなか先に進まないテンポの悪さは残念であるが、ラスト30分から急激に面白くなる。殺したはずの夫がまだ生きているんじゃ!?と思い込み、ノイローゼ気味になっていく妻。罠にハメられてるのは一体どっち!?と混乱していき超楽しくなる😘
「スパズモ」(1974)のウンベルト・レンツィ監督が往年のハリウッド大物女優キャロル・ベイカー主演で制作したジャッロ三部作の第二作。音楽リズ・オルトラーニ。

ジャン(ジャン=ルイ・トランティニャン)&ダニエル夫婦が暮らす豪華マンションの上階にニコール(キャロル・ベイカー)という女が越してきた。浮気性のジャンはニコールに興味を持ち接近する。彼女は暴力的な恋人に悩まされていた。。。

土曜ワイド劇場の元祖のような内容と仕上がりだった。途中の急展開には驚かされた。シリーズ前作「狂った蜜蜂」(1968)よりもシナリオ構成は整っていたが、映像も内容も平均的で印象に残るようなインパクトはなかった。リズ・オルトラーニの音楽は良かった。