拝啓、私の最も敬愛する映画人であるチャーリー様。
私が初めて【子供映画を除いて】映画館で観たのは貴公の「モダンタイムス」でした。
それ以来40年以上、映画を愛し、映画にときめき、今でもこうやってレビューを書くことを最高の喜びと思えるのはひとえにあなた様のおかげです。
心の底から感謝申し上げます。
さて、そのきっかけを与えてくれた普及の名作「モダンタイムス」ですが、
フランスのルネクレール監督作品「自由を我らに」をパクったという噂が昔からありますね。
最初に「自由を我らに」を拝見させて頂いた際には、あなた様への盲目的敬愛により、それは嘘だと!心の中で叫んでいたのですが、
今回、「自由を我らに」を再見して、確信致しました。
チャーリー様、パクリましたね!
ベルトコンベアの有名なシーンは、【モロ】でごさいます。
先にお話させて頂きますが、私はパクリは全く悪いと思いません。
「自由を我らに」の面白いシーンをさらに動きのあるチャーリー様らしい最高のエンタテイメントに昇華させられるのは、天才チャーリー様だけだからです。
テーマ性が似ているのは、天才同士だから当然。
ハリウッドとフランスの才能のケミストリーだと思います。
って、ちょっとおふざけ気味に書いたけど、この映画は、あの輝かしい名作「モダンタイムス」の原型であることは間違いありません。
非常によくできた味わいの深い「映画史に残る、こちらも輝かしい名作」です。
トーキーとサイレントのシンクロであり、
ドタバタ喜劇とドラマチックなストーリーのシンクロであり、
大昔の作品ながら、きちんと当時からみたら、「遥か遠い未来」だった2017年への警鐘にもなっています。
この点でも今作と「モダンタイムス」は、もはや対となっているとも言っていい関係だと思います。
事実、監督ルネクレールは、チャップリンパクリ疑惑に対して、
「チャップリンが私に影響を与えることも与えられることもある」と、天才らしく、奥行きの深い言葉を残しています。
今回、再見して、1番驚かされたのは、85年も前の映画なのに、未来をズバリ言い当ててるということ。
終盤、ベルトコンベアから人工的に製品を作る機械が発明され、人間が仕事をしなくてよくなるのです。
そう!AIなんですよね!
凄いと思いませんか?!
「モダンタイムス」のラストが、名曲「スマイル」が美しく奏でられ、「明日を信じて!」的に終わっているのと同じように、本作「自由を我らに」も、負けずの名曲に乗って、明るく終わる。
しかし、こっちはちょっとほろ苦かもある。
だって、お金じゃ買えないものもあるって皮肉にもなってるから。
お金or自由?を天秤にかけるような、冷静な視点もここにはある気がします。
まあ、小難しいことは考えずに、サイレントの楽しい喜劇を見るつもりで、ご覧になってくださいませ。