YasujiOshiba

バットマンのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

バットマン(1989年製作の映画)
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ネトフリ。誰かさんの宿題のお相伴。

1989年のころ、映画館なんてほとんど行かなかったけど、これは観に行った記憶がある。そして、なんだか妙な気分になって劇場を出たんだよね。

ここから映画シリーズが始まるのだけど、ティム・バートンのこの作品は玉石混交という印象。バットマンやバットマンカーのデザイン、マット画だけどゴッサムシティーのイメージなど、のちの名作を触発するような光ものが散りばめられているのだけど、笑えばいいのか、手に汗を握ればよいのかよくわからない作品。

まあ、良い意味でも悪い意味でも、諸悪の根源はジャック・ニコルソンの怪演。映画を台無しにしているようで、思わぬ深みを与えてもくれているし、少なくとも、ジョーカーというキャラクターをスクリーンに投影させて、若き実力派俳優たちを触発した功績は忘れちゃならないよな。

チグハグといえば、『ビートルジュース』(1988)のマイケル・キートンを引っ張ってきたこともある。キートンの演技も、とぼけているのか、トラウマと戦っているのかよくわからないところがある。ティム・バートン的なおもしろさではあるのだけど、同時に、この作品のチグハグさにつながっているように思う。まあ、それでも、のちにイニャリトゥの『バードマン』(2014)でキートン自身による見事なセルフパロディにつながるのだから、映画って、ほんと面白いよね。

それから、キム・ベイシンガーも妙にチグハグだ。ぼくにとって彼女の代表作はエイドリアン・ラインの『ナインハーフ』(1985)なんだけど、あの怪しい魅力をプンプンさせながら、どこかコミカルなお嬢さんに終わってゆくのが残念といえば残念。でも、おかげさまで、ベイシンガーの魅力をちゃんと確認しておきたい気持ちになってきた。
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