RAY

みんな元気のRAYのレビュー・感想・評価

みんな元気(2009年製作の映画)
3.8
“デ・ニーロは色んな顔をする”


フォローさせて頂いている方のレビューを読んで鑑賞しました。


とても素敵な作品だったと思います。
タイトルそのままなのだけど、大切な人が“いてくれる”ことがとても大切なことで、人にとっての支えになっているのだと感じたことが、この作品を素敵だと思った一番の理由です。


ロバート・デ・ニーロが演じるのは、フランク。
妻に先立たれたお父さんです。
フランクは、毎年、子供たちの帰省を楽しみにしていましたが、その年は全員が帰省を取りやめてしまいます。
それならばと、自分自身が子供たちに会いに行こうとするのだが…と言うストーリーです。
個人的には、サム・ロックウェルが子供の一人を演じているところも興味のひとつでした。

先にお伝えしておくと、この映画は多少ツッコミどころの多い作品ではあると思います。
ですから、ご覧になる方によっては感情移入出来なくなったりされるかもしれません。
ですが、この映画において大切なことは、“大切なことに気付く”と言うことなんだと僕は思っています。


この映画を観て、まず最初に思うのは家族についてでしょう。
僕は両親について思いました。

大人になるにつれて、親に会う機会も、なんだったら話をする機会も少なくなりました。
もちろん、両親が嫌いだとかではなくて、いつの間にか時間が経っていたと言う感じです。
そんな風に、“両親”と言う存在は当たり前で、その分、子供にとっては意識しなくなってしまうものなのかもしれません。

この映画は、“ツッコミどころが多い”と書いたのですが、その理由のひとつは、子供たちの父親に対する対応の“急な”変化です。
だけど、僕はそれがおかしなことではないと今は思うのです。


つい先日、母親から急にLINEが届きました。

「頼りないけど、私はあなたの親だからね」

LINEには、そう書かれていました。
僕は、今こんな時期に両親の心配なんて、正直、それ程していなかったし、帰省だって、出来る出来ない以前に考えてもいませんでした。
だけど、親の子に対する想いと言うのはやっぱり違っていて、恥ずかしながら、こんな時期、そして今になって気付いてしまう。
その時、“みんな元気”であることがどれ程大切なことなのかをあらためて感じました。

ロバート・デ・ニーロは映画によって色んな表現を見せてくれるけれど、親の子を想う気持ちを、こんな僕にも気付かせてくれる様な素晴らしい演技でした。
その説得力は、色んな彼の表情を見てきたからこそ生まれるものなのかもしれません。


もちろん、大切な人は両親や兄弟だけではないけれど、今は会いたくても会えません。
だけど、電話やLINEの向こうのその人が笑顔なのであれば、その笑顔を想うことが出来るのであれば、元気になれるし、その人に会える日を楽しみにして「頑張ろう」と言えるのだと思います。


——みんな元気。
とても大切で、素敵なことですね。
皆さんも元気でいて下さいね。


観て良かった。
RAY

RAY