TAK44マグナム

バーニング・ムーンのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

バーニング・ムーン(1992年製作の映画)
3.5
これぞジャーマンスープレックスならぬジャーマンスプラッター!

ドイツが生んだイカれたホラー監督、オラフ・イッテンバッハが手掛けたスーパーグロリンチョなオムニバスホラー映画。
首やら指やらが乱れ飛ぶ様は本当に酷い!
総じて学芸会なみの出来栄えもかなり酷い!
ついでに今まで観たブルーレイソフトの中で断トツに画質が酷い!
まあ、素人に毛が生えたようなビデオ撮りだからHDリマスターしてもこの程度なのも仕方ないのでしょうけれど・・・。

どこぞの雪ダルマみたいな名前のオラフ・イッテンバッハ、その手腕は見事に最底辺。
特に必要性が感じられないカットが多く、まるで腐ったオナラのようにトロくて稚拙な演出、更にはパーフェクトなまでに大根な演技の数々に打ちのめされること必至な、映画としてはボロ雑巾程度の完成度に涙がでますが、イッテンバッハ監督がやりたいのは飽くまでもグチャドロなゴア描写。
その一点だけは曇りがなく、ある意味サイコーに良くできています。
観るものを不快にさせてやろうという気概だけは尋常でないし、そのイカれ具合は、恐らく世界でも一、ニを争うでしょう。
予算もないので作り物感は半端ないながらも、やってることが突き抜けてしまっているので、リアルかどうかなんて問題はどうでも良くなるレベルまで登りつめてしまっております。
簡単に言えば、狂気の沙汰。とにかく狂ってます!


監督自身が演じるニートな兄ちゃんは、それもう捨てたほうが良いんじゃね?と言いたくなるほど膝が破けたダメージジーンズを履いたボンクラ野郎。
クスリや喧嘩に明け暮れる日々で、パパンやママンも匙を投げちゃってます。
出掛けるパパンたちが妹ちゃんの面倒をみるように頼んでも、ヤダヤダヤダ〜と暴れ始める始末。
しかし、クスリを一発キメた兄ちゃんは、妹ちゃん(かなりカワイイ!)を寝かしつけようと不気味な作り話を始めるのでした。


第一話「ジュリアの恋」

男遊びに精を出すジュリアが出会った優男は、実は精神病院を脱走してきた連続殺人鬼。
その正体を知ったジュリアは間一髪、逃げ出しますが住所を知られてしまいます。
殺人鬼はジュリアの家族を次々と殺害、死体を燃やしたり、生首で遊んだり、ジュリアに無理矢理、目玉を食べさせたりとやりたい放題。
そこへ、「おまえ、警官だったのかよ!」と誰もが驚く意外な人物が助けに現れ、殺人鬼の頭をふっ飛ばしました。


「そんな怖いお話しないで」
と、普通じゃない眼光をギラつかせる兄ちゃんにすっかり怯えた様子の妹ちゃん。
「俺の話は最高だろうが!」
妹ちゃんの懇願を無視して、兄ちゃんは強引に次のお話をし始めるのでした。


第二話「純潔」

どこか田舎の村。
そこの神父は変態の強姦殺人鬼だったのでした。
婦女子が殺されますが、まさか神父が犯人だと思わない村人たちは、真面目ながら精神が薄弱そうな青年を犯人だと決めつけます。
何故か神父は勝手に自殺しますが、村人は青年の処刑を決定、実行します。
可哀想にズタボロにされ殺される青年。
しかし、地獄からの声に導かれて蘇った青年は、直接手を下した村人の家の壁に、血文字で獣の数字666を書きなぐるのでした。
すると、どうしたことでしょう!
寝ていた村人が突然、苦しみ始めたではありませんか。
場面は一転、ゾンビみたいなのがひたすら人体破壊を続ける地獄絵図が超展開!
縛り付けられた村人を、牙の生えた司祭?が弄びます。
目玉をつぶし、ドリルで歯を粉々にし、腹を掻っ捌いて内臓を取り出し、しまいには股を割いて下半身を真っ二つにしちゃいます。
その頃、現実の村人も絶命していました。


話を終える頃、虚ろな表情の兄ちゃんは・・・・・
というオチは完全によめちゃうんですけれど、ジャンキー演技だけは中々のものでしたよ、イッテンバッハ。
マジでジャンキーでないことを祈ります(苦笑)。

一話目も、目玉を食べさせるカットの為にわざわざ口の中の模型を作ったりと悪趣味全開ですが、やはり真骨頂は二話目終盤の地獄絵図シーンでしょう。
死体だらけの血みどろ大サービスで、心臓やら腸やらがグチャグチャのてんこ盛り状態!
こんなにゲロいゴアゴアパーティには、とてもじゃないですが参加できませんよ!
こんなの撮っているものだから、ドイツでは検閲に引っかかり発禁処分にされちゃいましたとさ(汗)。
ユルグ・ブットゲライトなど、ドイツってイカれた才人がたまに現れては社会的に抹殺されるイメージがあるんですけど、鬱屈した何かがやり過ぎなホラーを撮らせるのでしょうかね。

とりあえずグロいのが観たければチョイスしても良いですが、それなりに覚悟の上で鑑賞することをオススメ致します。
それほど、映画としてはエド・ウッド級に面白くない(苦笑)。
人間をただの肉塊としか思ってない、紛れもなく怪作にして問題作。


セル・ブルーレイにて