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終の信託の655321のレビュー・感想・評価

終の信託(2012年製作の映画)
3.0
「誰かが責任を取らなきゃいけないの!」

そう叫ぶ医師、折井(草刈民代さん)は死期が近付いている江木(役所広司さん)を目前にし、どういう決断を下すのか…というお話。

この映画は「責任」について直視していない人物ばかりだ。
・不倫をする医師。
・見舞いに訪れず「担当医が言うなら」と判断(責任)を丸投げにする家族。
・「いつ終わるかは検事が決めることなので」と言う検事の助手。
・司法という名の自分の筋書きに固執する検事。

そしてこれらの人物達の殆どが「悪」とはとても呼べない。
むしろ社会規範、または司法から逸脱した行動を取る折井が最も悪に近いのかもしれない。
だが“信託”という言葉を隠れ蓑にした“責任逃れ”が存在するのも事実だと思う。

ではそれに対して折井は責任を取る事が出来たのか?
それは口にするほど簡単ではない、というバランスが良い映画だ。
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